教員生活をもうかれこれ10年以上しているので、
「どうすれば難関大に合格できますか」
ということを頻繁に聞かれます。私は、
「受験はただのゲームです」
といつも答えるようにしています。
なぜなら大学に入るまでの勉強は
大体パターンが決まっていて、
それを愚直に繰り返すだけである程度は
伸ばすことは可能です。
そして、日・米・蘭の大学院で学んだ経験上、
そして日本では所謂「偏差値の高い高校」の
卒業生に数多く出会ってきた。
中高時代いくら成績が良くても、
大学に入った途端にパッとしなくなる人は多いようです。
それはなぜでしょうか?
そもそも中高と大学の「学びのルール」が異なるからです。
そして、もう1つ。
自分の「学び方の特性」を分かっていないから。
逆に、自分の学び方を分かっている人ほど、
大学の学びがハマります。
このことは学校での学びよりも、
学校外での学びで顕著になるようです。
人の知性は様々
ハーバード大学教育大学院教授、H・ガードナー先生の
(超)有名な理論、多重性知能理論によると、
「人の知性は多様である」とされている。
(*近年はさらに種類が増えたり・・・それは割愛します。)
先生のよると、人の知性は大きく
以下のような知性に分けられるそうです。


このなかで「学校のテストで評価できている項目」はどれでしょうか?
そう、「ことば」の項目だけなのですね。
つまり、
学校という教育現場では授業をちゃんと聞き、
テストで記憶をあますことなく再生できる
子供ほど優秀とされるです。
これはどういうことかというと、
先ほどのtwitterとも関連していますが、
早くから子供の言語力を伸ばすことの出来る環境にあれば、
自ずと学校での成績は良くなる、ということになります。
じゃ、それでいいじゃん、先取り学習最高!
とならないのが、学びの世界。
ガードナー先生も言っているように
「学び」は様々な知性の組み合わせであり、
「言語能力」だけでは不十分なのです。
赤ちゃんでさえ学び方が異なる
ニューヨーク大学のカレン・アドルフ教授は、
乳児の年齢、体格、経験がハイハイの発達に
及ぼす影響を、初めてハイハイをしようとした
時から歩行を始めるまでの28人の乳児を
縦断的に観察して調査しました。
すると、ほとんどの乳児が歩行に至るまでに
複数の這い這いの姿勢をとるようになりましたが,
その発達は段階的な進行に沿ったものではなかったのでした。
つまり、28人の赤ちゃんでさえハイハイの学び方が
多様であることが示されたのです。
ガードナー教授の多重知能理論にしかり、
アドルフ教授の赤ちゃんの研究にしかり、
人の「学び」には様々なパターンがあることが示されています。
赤ちゃん関係で有名なのはこちら↓
自分のことをすこし振り返ってみよう
「こうすれば絶対に・・・大に合格」
「家族全員東大に入れた・・・」
というノウハウ本が書店には溢れています。
そして、キャッチーなタイトルが
子育て・教育への万能薬感を醸し出しています。
しかし、人の成長に唯一の成功パターン、
専門用語では「経路の原理」(Pathways principle)
というのは存在しません。残念ながら。
人は多様な知性と持てる様々能力をフル活用して
学んで成長しているのです。
では、どうすればいいのでしょうか?
それには自分の得意なパターンを見つめることが重要です。
上手くいったのはどんなときですか?
やってて楽しいと感じた時はどんなときですか?
自分で振り返ってみるのもいいですし、
仲の良い友人に「どんなときに楽しそうに学んでいたのか」
聞いてみるといいでしょう。
学ぶのが楽しい
そう感じたときにあなたの知性・能力は最大限に
発揮されているのです。
人のやり方を真似るのではなく、
そして、義務のよう学ばされているのではなく、
みなさんが「学んでいて楽しい」と感じられる瞬間を
見つけられるといいですね。
こちらもよろしくお願いします!