「新しい学力観」とは何だったんだろうか?

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そもそも「新しい学力観」とは何なのでしょうか?

「新しい学力観」という言葉は、今となっては手垢のついたものになってしまった感がありますけど。

でも、一体全体、その単語はいつ、どのように作られたのかしっていますか?ちょっと探ってみましょう。

ちなみに、こういうのに興味がある人は教育社会学という分野です。もっというと、こういう「概念の生成」を探る研究はフランスの哲学者ミッシェル・フーコーが『知の考古学』と読んでいるモノだよ。興味があったらぜひ!

さてさて、「新しい学習観」という言葉が誕生したのは1991年の3月だとされている。その経緯はこんな感じ。

1980年代 学校で問題多発。学生のストレスで校内荒れる。(とされる・・・)詳細は苅谷先生の本など

1980年代 中教審臨時教育委員会で議論。

1990年12月 高等学校の多様化問題などについての第14期中教審会審議経過報告で「今までの教育ではだめだ」的な議論になる。例えば、有名私大から東京大学への進学を狭めろ、など。

1991年3月13日、 文部省の指導要録改善調査研究協力者会 議 (主査・ 奥 田真丈東京都立教育研究所長)が 小 ・中学 校 指導要録改訂の審議のまとめを提出。その解説書の中で「新しい学力観」という言葉が使われる

1991年3月 文科省の雑誌『初等教育資料』の「今月の言葉」で「新しい学力観」が紹介される。

結論から言って、「新しい学力観」とは1991年の改訂指導要録の解説でも明らかにされているが「観点別評価」、すなわち、「知識」・「技能」の評価だけじゃなくもっと見えないところも評価しよう、ということ。

つまり、教育内容の基礎・基本の考え方を根本的に転換し、さらに「関心・意欲・態度」などの視点を取り入れることなんです。

「学び」を学ぼうとする「意欲」や「関心」から「思考」や「判断」そして「知識」・「理解」へと昇っていくプロセスを重視するようになったんですね。

「何を学ぶ」から「どのように学ぶ」かへ。

それが「新しい学力観」なのでした。

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追記:しかし、「観点別評価」というのは曖昧で難しく、さらに教える内容も増えていて教育現場が混乱したという悲劇が待ち受けているのを知るよしもありませんでした・・・